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兵庫）「非日常」を味わう宿泊施設群　生野高原に誕生

兵庫県朝来市生野町栃原の生野高原に、新たな宿泊施設群が誕生した。木の上にしつらえたツリーハウス、全面ガラス張りのドーム、古い別荘をスタイリッシュに一新したログハウス——。一つひとつ異なるデザインアプローチで、「非日常」へいざなう。

　宿泊施設群は「SUGOMoRIリゾート生野高原」。ツリー・コティ1棟▽ドーム・コティ3棟（うち1棟は29日オープン）▽ログ・コティ1棟▽ヴィラ・コティ1棟の計6棟からなる。「コティ（koti）」はフィンランド語で「家」の意味だ。

　ツリー・コティは高原にそびえ立つ杉の大木5本を、そのまま柱として生かした。ベッドルームもバス、トイレも木の上だ。ドーム・コティは多面体のガラス張り。夜はベッドに仰向けになって星空を眺めたい。シャワーやトイレは別棟にある。

　ログ・コティは、しばらく使われていなかった築40年ほどの別荘の内外装を改め、芝生の庭を整えた。ヴィラ・コティも古い物件をリノベーションした。

　手がけたのは2人の建築家。加古川市の庄司圭介さん（53）と姫路市の福永義正さん（52）だ。リゾート開発会社「生野高原開発」が働きかけた。

　生野高原は、かつて関西の軽井沢をめざしてリゾート開発された。1965年にゴルフ場をオープンし、一帯を別荘地として売り出した。高度経済成長とゴルフブームに乗り、別荘地の約230区画は完売。だが、バブル景気崩壊や別荘所有者の高齢化などで利用が低迷し、今も使われているのは20区画ほどという。

　但陽信用金庫（加古川市）出身で生野高原開発の押部克己副支配人が1年ほど前、旧知の庄司さんを現地へ案内。林立する大木にデザインマインドを刺激された庄司さんが、福永さんと組んで「SUGOMoRI」プロジェクトを立ち上げた。「すごい森に巣ごもろう」という意味だ。今回誕生した宿泊施設群は、庄司さんと福永さんの2人が自ら購入した上で、リノベーションなどを施して運営している。

　庄司さんは「最初は自分で楽しむために作り始めましたが、多くの人に生野高原を楽しんでもらいたいと思うようになった。建築家として積んだ経験をデザインに反映させて作り込みました」。福永さんは「人が住まないと建物は傷む。それぞれ異なるデザインとロケーションで、繰り返し訪れても飽きない仕掛け作りを狙った」と話す。

　生野高原開発の押部副支配人は「使われていない別荘を生かす新しいビジネスモデルとして、高原リゾート復活の一歩になれば」。田中智也支配人も「ゴルフ場と連動した需要を掘り起こしたい。きれいな空気の高原で、非日常的な空間を満喫してほしい」と願う。